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能楽トリビアTrivia

Question50 能の舞台では右、左のどっちが上位?(2008年12月12日追加)

イラスト

能の舞台上の所作では、たいていの場合、左(観客席から見て右側)を上位に見て型を進めます。たとえば能で舞う時の型に「左右(さゆう)」と呼ばれるものがあります。左、右の順に向きを変えながら、手足を連動させて出る型です。出る足数によって、小左右、大左右などとも呼ばれます。

小さい左右では、かまえた状態から腕全体をそのまま上げて左方向を向き、扇の持ち手(右手)を下ろしつつ二足出て、次に扇の持ち手を下げながら逆の左手を上げて二足出ます。この型はもともと「左右左(さゆうさ)」といわれました。神事であり、特別な演目である「翁」では、太夫が舞台に入ると左右左を行います。まず左から払い、右、そして左を払い、礼をするのです。また舞い始めなど、止まっている状態からの一歩目は、通常左から出ることになっています。

日本では古来、左を上位と見なしてきました。たとえば律令制の左大臣と右大臣では左大臣のほうが上位にきて、公式な場では天皇の左側に座すことになっていました。能もこの伝統に従って左を重んじていると思われます。この左上位の考え方は、中国の唐の時代、皇帝は北を上座にし、南側を向いて座る場合に、皇帝の左側(太陽の昇る東)を上位にしたことに倣ったという説があります。もっとも中国では、秦・漢の時代など右上位の時代もありました。


イラスト:坂木浩子
今までのトリビア

「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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