能舞台を観る座席は、舞台正面を「正面」、角柱から橋掛かりにかけての部分を「脇(ワキ)正面」、その間の、角柱をほぼ前に臨む扇状の部分を「中正面」と呼びます。チケット料金に差額がある場合は、高い順に正面・ワキ正面・中正面で分けられることが多いようです。
では、正面の座席が観能には最適かと言うとそうとも言い切れません。もともと能舞台は周囲どこからでも観られることが前提です。また四方に柱があるので、正面でも両脇よりの場合、柱が舞台と重なることもあります。
舞台近くで装束や面を間近に観る、少し奧から舞台全体を見渡す、ワキ正面で橋掛かりの上からの動きや横の動きも注目する。同じ演目も観る場所で違った発見があるのが能舞台です。常に正面前方でなければダメとは考えず、いろいろな見方を楽しんではいかがでしょう?