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能楽トリビアTrivia

Question109 奈良の天河神社と能の深い縁とは?(2012年2月21日追加)

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内田康夫の小説、浅見光彦シリーズ『天河伝説殺人事件』の舞台であり、近年ではパワースポットとしても人気の奈良・吉野の天河神社。創建を飛鳥時代に遡るこの社は、芸能の神、弁財天(インドのサラスヴァティー)を祭り、古くから悪霊を鎮めたり、祖霊を祀るために田楽が催されていた、能とは関係の深い神社です。現在でも、世阿弥が使ったといわれる「阿古父尉(あこぶじょう)」の面や豊臣秀吉が奉納したといわれる豪華な唐織などの名品を保有しています。

世阿弥の嫡男・十郎元雅も、この芸能の神に能を奉納し、祈願しています。「隅田川」「弱法師」などの作者とされる元雅は、父に勝るとも劣らない名人でしたが、時の将軍・足利義教の寵愛は、元雅の従兄(世阿弥の甥)・音世弥に移っており、華やかな活動の場は閉ざされていました。元雅は、不遇の中でも精進を続け、苦境を脱することを心に期して、この天河神社に能「唐船(とうせん)」を奉納し、尉の面を寄進したそうです。しかし、願い叶わず、30歳の若さで急死します。その死因は謎とされていますが、南北朝の政治対立に巻き込まれたという説もあります。


イラスト:坂木浩子
今までのトリビア

「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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