秋の夕べ。須磨の浦に着いた旅僧は、いわくありげな松に目を止め、松風、村雨という海女の姉妹の墓標と知る。 森茂好 ふたりを弔った僧は近くの塩屋を宿にしようと入る。そこへ汐汲みの若い海女がふたり、現れる。 本田光洋、吉場広明 女は、月影映る夜の汐水を、桶に汲み入れた。 梅若万三郎 桶のなかにも月影が見えるよ。月を載せていると思えば、汐水を運ぶ道のりも辛くはない。 宇高通成、種田道一 旅僧が松風、村雨を弔ったと語るうち、海女たちの目に涙が寄せる。ふたりは姉妹の亡霊だった。 喜多六平太、塩津哲生 ふたりを愛したのは貴人、在原行平。松風は形見の衣を抱き寄せ、その面影に浸る。 喜多六平太 行平の形見を身に纏った松風が恋に狂乱し、松を行平と見て進むのを、村雨は留めた。 喜多実、塩津哲生 何を、この松こそはあの人。しばしの別れ、待てばまた来ると告げて遠い国へ行ったあの人。 本田光洋 ここにあの懐かしいあなたがいる。離れがたい恋のさざなみに乗って、松風が舞う。 豊嶋訓三 [一時停止中。画像クリックで再開します]
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写真:森田拾史郎
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