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演目事典

檜垣ひがき


「能楽図絵二百五十番」月岡耕漁 檜垣
国立能楽堂提供:「能楽図絵二百五十番」月岡耕漁 檜垣

あらすじ
肥後国・岩戸に住む僧が、毎日水を運んで御供えする老女に名を尋ねます。罪を滅ぼしてほしいと僧に語る老女は、太宰府で檜垣をしつらえた家に住んでいた白拍子しらびょうし藤原興範ふじわらのおきのりに詠んだ『後撰和歌集』の歌が、自身の歌であると明かし、亡き跡を弔ってくれるように頼んで消えていきます。

所の者の勧めもあって、僧は女が老いて住んだという白河の跡まで弔いにやってきます。すると深い霧の中でほのかに灯がともる庵に先ほどの女がいて、世の無常や地獄での苦しみを語り、老い衰えた自身の境遇を嘆きます。藤原興範とのやりとりを思い出して白拍子の舞を舞うと、老女は成仏を願って消えていくのでした。

みどころ
本作は「関寺小町」、「姥捨」とともに『三老女』の一つであり(金剛流の『三老女』は「関寺小町」「鸚鵡小町」「卒都婆小町」)、最高の秘曲とされています。現行曲としては「卒都婆小町」に次いで古い老女物とされています。

若き頃、美貌を持って舞の評判も高く、家に檜垣をしつらえて優雅に暮らしていた遊女としての自身の姿が老女の口から語られますが、舞台上の老女には華やかだった姿は見る影もなく、老い衰えた女の悲しみが立ち現れます。

全体に落ち着いたもの寂しい曲ですが、余計なものが削ぎ落され、世阿弥が幽玄の極致として説いており、重く扱われている作品です。


演目STORY PAPER:檜垣

演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。

檜垣PDF見本
the能ドットコムの「檜垣」現代語訳、あらすじ、みどころは、作成にあたって主に次の文献を参照しています。書名をクリックするとリンク先で購入することができます。
『謡曲大観(第4巻)』佐成謙太郎 著 明治書院
『解註・謡曲全集(第2巻)』野上豊一郎 著 中央公論社
『能楽ハンドブック』戸井田道三 監修・小林保治 編 三省堂
『能・狂言事典』西野春雄・羽田昶 編集委員 平凡社
『能楽手帖』権藤芳一 著 駸々堂出版
『日本古典文学全集33 謡曲集一』小山弘志・佐藤喜久雄・佐藤健一郎 校注・訳 小学館
『新日本古典文学大系57 謡曲百番』西野春雄 校注 岩波書店
『日本古典文学大系40 謠曲集上』横道萬里雄・表章 校注 岩波書店
各流謡本

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