観世流では「玄象(げんじょう)」、宝生・金春・金剛・喜多流では「絃上(けんじょう)」と呼ばれる。
琵琶の名手である藤原
師長が須磨の浦に留まっていると、村上天皇があらわれ、龍神に琵琶の名器「獅子丸」を持ってくるように命じます。師長は「獅子丸」を受け取ると、八大龍王や村上天皇と共に唐楽を奏でます。村上天皇は舞を舞うと昇天し、師長は琵琶の名器を携えて都へと戻っていくのでした。
本作は、琵琶の名器にまつわる伝承をベースに、多様な登場人物が芸術に向き合っている姿が描かれています。興隆する中国文化に対して、日本の芸術を再認識するような思想も感じ取れます。
前場では明石の浦の情景が浮かび上がり、作品全体に風情が感じられます。琵琶の音と調子を合わせるために板屋に苫を葺く老夫婦の風流心が、雅楽「越天楽」の演奏へと続いていきます。
後場は、威厳ある中にも爽やかさが感じとれる雰囲気で、村上天皇が師長に秘曲を伝授する「早舞」は爽快なテンポで舞われます。琵琶の名器「獅子丸」を持って現れ、橋掛かりを一気に走り抜ける龍神の出もみどころです。
演目STORY PAPERの著作権はthe能ドットコムが保有しています。個人として使用することは問題ありませんが、プリントした演目STORY PAPERを無断で配布したり、出版することは著作権法によって禁止されています。詳しいことはクレジットおよび免責事項のページをご確認ください。