那智(和歌山県)の修験者、祐慶(ゆうけい)の一行は、陸奥の安達原(福島県)で、萩の庵に独り住む女と出会う。 鈴木啓吾 寂しい野原で夕暮れを迎えた祐慶たちは、相応に歳を経たと見える女に、一夜の宿を乞う。 浅見真州 はじめ断っていた女も、秋の夜寒の折、さすがに祐慶らが気の毒になって宿を貸す。 内田信義 糸繰りの道具、枠桛輪(わくかせわ)に目を止めた祐慶の求めに応じて、女は麻糸を手繰る。 清水寛二 糸に縁ある言葉を連ねては、儚く過ぎる人生を嘆く。 松井彬 「寝室を覗くな」と戒めて女は薪を取りに山へ。祐慶の下働きの男がかまわずに覗くと、夥しい死骸の山。 野村萬斎 噂に聞く安達原の黒塚の鬼女だ。肝をつぶして逃げる祐慶たちの後ろから、鬼女の声が追ってきた。 角寛次郎 雷鳴轟き、雨が降り出す。そして鬼は口を開けて取って食おうと歩み寄る。 高橋勇 祐慶たちの必死の祈りが通じた。やがて鬼は、夜の嵐とともに消えていった。 坂井音重、宝生閑、他 福島県二本松市、安達原の観世寺には、鬼が籠っていたと言われる岩窟がある。 [一時停止中。画像クリックで再開します]
|
写真:森田拾史郎
PhotoStoryは自動で開始します。停止するには写真をマウスでクリックしてください。