中国・楚の
僧は、里人から芭蕉にまつわる故事を聞くと、先ほどの女が芭蕉の精であったと思い、夜通し読経をします。そこに芭蕉の精が現れて、芭蕉のはかない姿や無常な世を嘆きます。月が照らすなかで芭蕉の精が舞を舞ったかと思うと、芭蕉の扇が風を起こします。山風があたりの花や千草を吹き払うと、そこには芭蕉の葉が破れて残っているのでした。
本作では、法華経の
他の能にも植物の精が現れるものはありますが、若い女性でも老婆でもなく、中年の女性が登場するのは本作の特色です。花が咲くこともなく、風で破れる芭蕉のはかないイメージが、女の姿に重なっています。静かで気品の高い大小物(太鼓が入らない)の「序之舞」もみどころです。
冬には枯れてしまう芭蕉を王維が絵に描いたという「雪中の芭蕉」の故事は有名で、これを語る間狂言もききどころです。
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