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演目事典

養老ようろう


『観世座能狂言写生帖 第三巻』より「能 祝言 養老」
国立能楽堂提供:『観世座能狂言写生帖 第三巻』より「能 祝言 養老」

あらすじ
第二十一代雄略天皇の御代のこと。美濃の国、本巣(もとす)の郡(こおり)に不思議な泉が湧くという知らせがあり、勅使が検分に訪れました。その地で勅使は、霊水をみつけた樵(きこり)の老人と息子に出会います。二人は勅使に問われるまま、泉を見つけ、「養老の滝」と呼ぶに至ったいきさつを語ります。息子が見つけた滝の水を老親が飲んだところ、心身ともに爽快になり活力にあふれたところから、老いの身を養う意を含めて名づけたのでした。さらに老人は、滝壺を指し示して勅使に場所を教え、さまざまな長寿と水にまつわる故事を引き、養老の滝から湧く薬の水を讃えます。勅使が帝に良い報告をできると喜んでいると、そのうちに天から音楽が聞こえ、花が散り降るという吉兆が現れました。

ただならぬ気配の中、やがて楊柳観音菩薩の化身と称する山神が登場し、颯爽と舞を舞って、天下泰平を祝福します。

みどころ
この能は、世阿弥作の神能のひとつですが、「高砂」など世阿弥のほかの作品とはやや違ったつくりになっています。中入り後、神が登場し、祝福の舞を舞う神能の形式はとっていますが、霊的な化身があらわれて昔の物語などを語る他曲と異なり、前シテとツレは、実際に泉をみつけた人間であり、彼らが滝水の霊験を授かるという現実の物語です。

養老で親子がみつけたのは「薬の水」。酒のことを示唆しています。七賢人や曲水の宴など、めでたい酒の伝承を盛り込み、養老の霊水が、澄んだ美しい酒であると印象付けています。濁り酒が主流であった当時、この能で描かれた清らかな酒の印象は、多くの人々に、ことさらみずみずしく受け取られたことでしょう。


演目STORY PAPER:養老

演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。

養老PDF見本
the能ドットコムの「養老」現代語訳、あらすじ、みどころは、作成にあたって『養老 対訳でたのしむ(三宅晶子著 檜書店)』など、主に次の文献を参照しています。書名をクリックするとリンク先で購入することができます。
『養老 対訳でたのしむ』三宅晶子 著 檜書店
『日本古典文学大系40 謡曲集 上』横道萬里雄・表章 校注 岩波書店
『能楽ハンドブック』戸井田道三 監修・小林保治 編 三省堂

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