平家の武将、平清経は西海の合戦に破れ、入水した。形見の遺髪に、妻は悲しみを募らせる。 佐久間二郎 清経の形見を見るに忍びない妻は、奉納する社に返してしまう。その夢枕に、清経の亡霊が現れた。 観世銕之亟 妻が、自ら死を選んだ清経を責めれば、清経は形見を返納した妻を恨む。互いの思いを吐露し合い、涙に袂を濡らす。 関根祥人、藤波重孝 清経は妻に、恨みを晴らせよと、ここに至るまでの模様を語る。都を追われた平家一門の哀れさに涙を禁じえない。 友枝昭世 敵に押し出され、船に乗り九州へ落ち、柳が浦にたどり着いた。白鷺の群れる松を見て、源氏の旗かと驚く有様である。 喜多節世 いつまでも憂き目を見るよりは死を。覚悟を決めた清経は、折からの月を眺め、船の舳先に立つ。 橋岡久馬 腰より横笛を抜き、澄みやかな音色を響かせて朗詠し、来し方行く末に思いを馳せる。 坂真太郎 狂人と思われてもよい、もはや思い残すことなどない。「南無阿弥陀仏弥陀如来」の一声を最期に、 友枝昭世 船から身を投げ、海底の藻屑となった。 浅井文義 死して後にも、修羅道で繰り返される西海、四海の合戦に翻弄される。救いは、死の間際に唱えた南無阿弥陀仏。 寺井良雄 [一時停止中。画像クリックで再開します]
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写真:森田拾史郎
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