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演目事典

安宅 :PhotoStory


弁慶の策に義経はうなずく。主従の思いはよどみない。強力(ごうりき)に身をやつす義経の姿は、強い意志のあらわれ。
桜間金太郎、他
「ひとりも通さない」安宅の関守の長、富樫の厳しい態度も、弁慶らの命がけの勤行に気圧され、和らいでいく。
津村礼次郎、鏑木岑男、他
しかし富樫から難題が出た。「東大寺の寄進集めなら、勧進帳を読めるだろう」弁慶は巻物を取り出して……
橋岡久馬
あるはずのない勧進帳を、天に響く大音声で読み上げる。巻物は偽りでも、弁慶には義経を守る、誠の真実があった。
津村礼次郎、他
富樫も、ほかの関守たちも、その気迫に一気に押しやられた。もう通すしかないであろう。
鵜沢郁雄、森常好、他
ところが苦難は終わらない。見咎められた義経。
鵜沢光
弁慶はどうさばくのか。
鵜沢郁雄、鵜沢光
打ち据えて、打ち据えて、主を思えばこそ杖に力がみなぎる。
観世喜之
追及の手を緩めない富樫に、さすがに義経の家来も気色ばむ。
喜多六平太、他
唯ひとり、弁慶だけは味方を抑え、関守に場を収めるよう気配で促す様子。
橋岡久馬、殿田謙吉、他
通過を許し、無礼のお詫びに酒を携えてきた富樫に、舞でこたえる弁慶。舞のうちにも決して心を許さない。
喜多六平太
張りつめた厳しさを隠して、舞う。
関根祥六
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写真:森田拾史郎

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