平家討伐に功をあげた源義経は、兄・頼朝と仲違いする。武蔵坊弁慶らと都より西国へ逃れる道すがら、摂津国・大物(だいもつ)の浦へ着き、旅装を解いた。 宝生閑、川村智勇他 義経の側を離れず、付き従ってきた愛妾、静御前の宿所を、弁慶が訪れる。義経に静との別離を進言し、義経も受け入れたと伝えるために。 観世栄夫 弁慶の言葉に驚いた静は、義経のもとに参じて、間近にその心を聞いた。義経は、行く末の旅の厳しさを案じ、都で時を待て、と諭すように告げた。 中森健之助、貫太 烏帽子、直垂を付けた男装の静は、離れがたい心のざわめきを押さえながら、義経の前途に幸あれと、願いを込めて舞を舞う。 高橋章 別れの悲しみに、こらえきれない思いはあふれ、静は泣きながら烏帽子、直垂を脱ぎ捨て、むせぶ涙に呆然と座り込む。 友枝昭世 津村礼次郎 友枝昭世 静との別れの余韻も醒めないうちに、弁慶は出立を促す。一同は船で大物(だいもつ)の浦を後にして、夕べの海に漕ぎ出した。 山本東次郎、野口淳弘、横路朝陽 突然、風が変わり、船は騒ぐ高波に翻弄されはじめた。 喜多節世 海上を見れば、そこには西海に沈んだ平家一門の亡霊たち。 喜多六平太 波間を蹴って、ひときわ近くに現れたのは平知盛。 津村礼次郎 知盛の亡霊は、義経を波間に沈めようと、長刀を巧みに操り斬りかかり、義経も太刀で応える。それを制し、割って入った弁慶は、数珠をもみ、祈りの言葉で立ち向かう。 関根知孝、村瀬純、高梨万里 仏法守護の明王の索に縛られ、知盛は次第に遠ざかる。 波吉雅之(旭川神社) 船に近寄るたびに払いのけると、やがて引く潮に揺られて波間に沈み、跡には白波ばかりが残った。 中森晶三(あさば) [一時停止中。画像クリックで再開します]
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写真:森田拾史郎
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